Audi NIPPON CUP2018オータムシリーズレポート
10月13日(土)〜14(日)の2日間、葉山マリーナヨットクラブ主催Audi NIPPON CUP 2018 葉山オータムシリーズが開催されました。春と秋の年2回、相模湾でのキールボートのチャンピオンシップとして徐々に定着してきたAudi NIPPON CUP。今回も多くの協賛企業の協力を得て、総勢32艇のレーシングフリークたちが秋の葉山に集結しました。
2015年にインショアレースとして生まれ変わったNIPPON CUPも今年で早4年目となりますが、前回(2018年春)、前々回(2017年秋)といずれも荒天のため開催できず、1年半ぶりの開催となりました。今回も、Melges20クラスとIRCクラスが設けられ、IRCは更にHP(ハイパフォーマンス)およびA、Bの3つのディビジョンに分かれて競います。
レース初日、曇天ながら朝からいい風が吹き、20kt前後の北東の風の中、第1レースの予告信号があがりました。最初のスタートはミニマムサイズの高速ワンデザインボートとして人気のMelges20クラスです。若いセーラーも多く、また今大会がMelges20のワールドリーグ・アジアディビジョンの一戦に組み込まれていていることもあり、熱戦が期待されます。
続いてのスタートは軽排水量の最新鋭レーサーが集まるIRC-HPディビジョンです。地元葉山の <Gaia>、<SPANK>に加え、遠く福岡から遠征してきた<ENTERPRISE LILY>のK-36 SAMURAI同型艇対決に注目が集まります。
最終スタートは、ミドルボートクラス~40ftまで、多様な艇種で構成されるIRC-Aと、
人気のプロダクションボートを中心に最大フリートを形成するIRC-Bが同時スタートでレガッタを盛り上げます。
運営陣を悩ませる振れ回る陸風ではありましたが、振れ幅は大きいものの一貫して吹き続けた腰の重い風に助けられ、予定通り3レースを消化。後半には風があがりダイナミックな回航シーンも見られ、各艇ヘトヘトになるまでレースを堪能し初日を終えました。
2日目の朝、未明から降っていた雨があがり、葉山沖には大きな虹が掛かりました。
この日も朝からいい風が吹き続けます。断続的に左右から入るシフトを捉え、有利なサイドをキープしながらレースを展開していく必要がありますが、接近戦が多く、マーク付近は大混戦となりました。
2日間とも過去2回の中止の鬱憤を晴らすような素晴らしい風に恵まれ、無事全5レースを完了しました。
IRC-HPは、<KARASU>( MILLS 41)が最終日の2レースを1-1でまとめ、初日トップの<CENTURY FAST GP> (GP 33 N/M)をかわして貫禄の逆転優勝を遂げました。3位には<OREOS>(IMK-7)が入りました。注目のK-36 SAMURAI対決は僅差の戦いとなり、<ENTERPRISE LILY>に軍配が上がりました。フォトジェニックな最新鋭のボートが集まるIRC-HPはNIPPON CUPの華の部分でもあり、スポンサー関係者が乗り込む観覧艇の目の前でも迫力ある回航シーンが披露されました。
IRC-Aは<VOGUE>(JND 36)と<光風> (FIRST 40)が優勝争いを展開し、第4レースを修正3秒差で制したVOGUEが優勝を勝ち取りました。両ヘルムスマンの三部選手(VOGUE)と高木選手(光風)はかつてお互いしのぎを削った元470セーラーで、時を経て久々の対決となりました。VOGUEは今年2月、現艇への乗り換えを機に結成された新しいチームで、全日本ミドルボート優勝を皮切りに好成績が続き、今勢いのある旬なチームと言えます。また、3位には表彰台常連の名門チーム<PROPAGANDA>(A 35)が入りました。キールボート界をけん引する実力派ぞろいのこのクラスは、今回もハイレベルなレースが展開されました。
IRC-Bは得意の強風コンディションでパフォーマンスを最大限発揮した<EXOTIQUE>(FIRST35 (09) Fin6)が1-1-1-(2)-1というスコアで圧勝しました。2位には過去のNIPPON CUP常勝艇でもある<CAVOK>(FIRST 35)が入りました。3位はベテランチーム<APHROS>(TSUBOI IMS 950 MOD)となりました。
IRC-Bは今回最大数を擁するディビジョンとなり、国内で最も普及しているこのレンジのクラスの盛り上がりは、NIPPON CUPに於いても健全なピラミッドを形成しています。チャンピオンシップでありながらも、誰もが参加しやすい雰囲気を作り出し、いい効果を生んでいます。
Melges20クラスは<CONTIOUS>が2位<TRINITY>の猛追をかわし、タイブレークの末に優勝を勝ち取りました。25歳以下の若手中心に臨んだ<UNITY>は3位と大健闘しました。エネルギーに満ち溢れるこのクラスは、NIPPON CUPの中でも存在感を増しつつあります。ディンギー出身の若いセーラーが名だたるレーシングボートと同じレガッタに参加し、同じ海面でレースをすることにより、世代を繋ぐいい機会となるよう願っています。
最高の風に恵まれた今回のAudi NIPPON CUP葉山オータムシリーズ。実行委員会や運営スタッフにとっても充実した2日間となりました。NIPPON CUPはクラブメンバーによる自主運営をモットーとし、現役セーラーたちが持ち回りで担当しています。海上運営はもちろん、企画立案、情報発信、スポンサー対応、観覧艇、ドリンクバーの仕切りからDJまで!全てのコンテンツをプレーヤー目線で楽しく切り盛りしています。このノウハウを次世代へ継承し、末永くセーラーに支持されるイベントとして成長していけたらと思っています。
また来年、葉山沖でお会いしましょう!